はじめに:修理方法で車の価値は大きく変わる
車にエクボやへこみ、擦り傷がついてしまったとき、
「修理すると査定価値が下がるのでは?」と不安に感じる方は多いでしょう。
実際、修理の方法次第で車の評価点(査定点数)やリセール価格に大きな差が出ます。
また、業者の中には利益を優先して高額な修理を勧めるケースもあるため、正しい知識が不可欠です。
この記事では、車の価値を下げずに・安く・綺麗に直すための判断基準を、車屋の専門的視点で解説します。
査定に影響しない修理法:デントリペア(PDR)
まず最初に検討すべきは、**デントリペア(PDR:Paintless Dent Repair)**です。
● デントリペアとは
パテや塗装を行わず、専用工具を使ってパネルの裏側からへこみを押し出す高度な修理技術。
主に**塗装が剥がれていない小さなへこみ(エクボ)**に有効です。
メリット
- 費用が安い・仕上がりが早い
塗装工程がないため、1ヵ所1万円前後で即日修理できるケースも。 - 査定点数に影響しない
鈑金修理歴(Wマーク)がつかず、見た目も自然で査定士にも分からないほど綺麗に仕上がります。
デメリット・限界
- 塗装が剥げている場合や、骨格に近い部分・曲線の強い部分などは施工が難しい。
- 大きなへこみには不向き。
査定に影響する修理法:鈑金塗装とパネル交換
デントリペアで対応できない傷や塗装剥がれは、鈑金塗装または部品交換での修理になります。
ただし、これらは査定上「修理歴あり」として記録される可能性があり、リセールに影響します。
① 鈑金塗装(Wマーク)
特徴
へこみをパテで埋めて成形し、下地処理・塗装を行う一般的な修理方法。
色ムラを避けるため、傷の周囲だけでなくパネル全体を一枚塗りするのが基本です。
査定への影響
- 修理歴として**Wマーク(鈑金修理)**が付きます。
- Wマーク自体は「修理歴あり」という意味で、必ずしも悪い評価ではありません。
- ただし、**天井(ルーフ)**の鈑金は注意。天場にWマークが付くと事故車扱いになる場合があり、評価が大きく下がります。
注意点
Wマークが複数ある車は「過去に複数の損傷があった」と見られ、買い手に敬遠される傾向があります。
② 部品交換(バツマーク ×)
特徴
損傷したパネルを新品に交換する方法。ディーラーがよく提案する手法で、作業が早く仕上がりも綺麗。
ただし、部品代が高くつくため、費用は鈑金より高額になることが多いです。
査定への影響
- 交換歴は**バツマーク(×)**として記録されます。
- 鈑金よりも価値の下落幅が大きく、オークションでも敬遠されがちです。
例:Wマーク付き車よりも入札価格が下がる傾向があります。 - 特に**2パネル以上交換(×××)**の車は、仕入れを断る業者もあります。
例外
バンパー交換は査定表に記載されないケースもあります。
ただし、ボンネットやフェンダーなど他パネルの同時交換がある場合は、事故歴を疑われます。
リセールを意識した修理の優先順位
車を長く乗るつもりなら「交換」で新品にしても問題ありません。
しかし、数年後の売却(リセール)を意識するなら、修理方法の選び方が非常に重要です。
▼リセール前提の修理優先順位
| 状況 | 推奨修理法 | 査定影響 |
|---|---|---|
| へこみのみ | デントリペア | 影響なし |
| 塗装剥げあり | 鈑金塗装(W) | 軽度の影響 |
| 鈑金不可 | パネル交換(×) | 大きな影響 |
つまり、「デント」→「鈑金」→「交換」の順でリセールへの影響が小さくなります。
交換は最も綺麗に直りますが、同時に査定額を最も下げる修理方法でもあることを忘れないようにしましょう。
まとめ:修理前に「査定への影響」を知ることがカギ
軽い傷やへこみでも、修理方法によって車の価値は数万円〜十数万円単位で変わることがあります。
特に保険修理では、保険会社が「納期優先」で交換を勧めてくるケースも多いため、
**「本当に交換が必要か?」「鈑金で直らないか?」**を一度確認するのがおすすめです。
修理金額・納期・リセール価値のバランスを考え、
**「今の車の価値を守りながら賢く直す」**ことが、結果的に最も得する選択になります。
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